テレビ映りを劇的に改善?謎の装置「プリアンプ」の正体とは【アンテナ工事の豆知識】

テレビの映りが悪くて困っている時、インターネットで調べたり電気屋さんに相談したりすると、「ブースター(増幅器)」という言葉をよく耳にすると思います。

しかし、それとは別に**「プリアンプ」**という装置が存在することをご存知でしょうか?

「ブースターと何が違うの?」「私の家には必要なの?」 そんな疑問を持つ方のために、今回はアンテナ工事のプロが、少しマニアックですが効果絶大な「プリアンプ」について分かりやすく解説します。

プリアンプとは何か?

結論から言うと、プリアンプとは**「アンテナのすぐそば(直下)に取り付ける、特殊な増幅器」**のことです。

「プリ(Pre-)」は「〜の前の」、「アンプ(Amp)」は「増幅器」を意味します。 テレビのアンテナが受け取ったばかりの微弱な電波を、長いケーブルを通って部屋に届く「前」に、その場で強くするための装置です。

普通の「ブースター」との決定的な違い

では、一般的に使われる「ブースター」と「プリアンプ」は何が違うのでしょうか?最大の違いは**「設置場所」と、それによる「効果の質」**です。

1. 設置場所の違い

  • 普通のブースター: 多くの場合、屋根裏や風呂場の天井裏など、アンテナから少し離れた宅内の見えない場所に設置されます。

  • プリアンプ: アンテナのマスト(支柱)など、屋根の上のアンテナの真下に取り付けられます。(まさに冒頭の写真のような状態です)

2. 効果の違い(ここが重要!)

電波は、アンテナからケーブルを通ってテレビに届くまでの間に、少しずつ弱くなっていきます。さらに、その過程で外部からの「ノイズ(雑音)」を拾ってしまいます。

  • 普通のブースターの場合: アンテナから離れた場所で電波を増幅するため、ケーブルを通る間に混ざってしまった**「ノイズ」ごと電波を強くしてしまいます。**結果、電波の強さは上がっても、画質(信号の品質)はあまり改善しないことがあります。

  • プリアンプの場合: アンテナが受信した直後の、**ノイズが混じる前の「最も新鮮できれいな電波」**をその場で増幅します。そのため、非常に質の高い信号を部屋まで届けることができ、画質が劇的に改善する可能性があるのです。

どんな時にプリアンプが必要?

プリアンプは、すべての家に必要なわけではありません。主に以下のような環境で威力を発揮します。

① 山間部や電波塔から遠い地域(弱電界地域) 元々届いている電波が非常に弱い地域では、普通のブースターではノイズばかりが増えて逆効果になることがあります。微弱でも純粋な電波をキャッチして、その場で強くできるプリアンプが唯一の解決策になる場合があります。

② ケーブルが非常に長い大きな家や施設 アンテナからテレビまでの距離が長ければ長いほど、電波は弱まり、ノイズを拾いやすくなります。出発点であるアンテナ直下で電波を強くしておくことで、長距離の伝送による劣化を防げます。

③ 特定のチャンネルだけ映りが悪い場合 「他の局は映るのに、〇〇テレビだけブロックノイズが出る」といった場合、そのチャンネルの電波だけが極端に弱いケースがあります。プリアンプでその弱い電波を底上げすることで改善することがあります。

まとめ(プロの視点)

プリアンプは、条件が合えば劇的な効果を発揮する優れた装置ですが、決して万能な「魔法の杖」ではありません。

設置には、専門の測定器を使って「アンテナ直下の電波の質(C/N比など)」を正確に測る必要があります。安易に取り付けると、逆に電波が強すぎて歪んでしまい、全く映らなくなることさえあります。

「うちの地域はどうだろう?」「ブースターを交換しても直らない…」 もしそんなお悩みがありましたら、まずはプロによる正確な電波調査をご依頼ください。お客様の環境にプリアンプが必要かどうか、最適な方法をご提案させていただきます。

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